アイドルを「裏切る」ということ

ゴールデンウィークというのに風邪引いてどこにも行けません。幸い時間だけはあるので、妄想と推測と思い込みを総動員して色々書いてみます。

『今回の騒動で私は、「アイドル」としての自分を裏切っていたと思います。また『モーニング娘。』のリーダーとしてメンバーをひっぱっていく資格はなくなった、と思いました。』
モーニング娘。』リーダー「矢口真里」についての重要なお知らせ
http://www.helloproject.com/newslist/050414-1.html


事の発端となった写真週刊誌の記事を見て「裏切られた!」と感じた人は、少なくとも俺の周りにはいませんでした。ネットを巡回してみても「矢口も22歳だし家族公認だし小栗旬もイイ奴っぽいし交際自体は何ら問題ない」という感想が大半を占めているようです。


じゃあ、矢口は「誰」を裏切ったのか?それはモーヲタではなくCMのクライアントとなる「企業」なのだと俺は思っています。



まずは「CM+出演料」というキーワードでぐぐってみたところ、こんな情報が見つかりました。中途ハンパに古いデータでナンですが。


■CMの出演料(2004年度)
 モーニング娘。…7,000万円
 松浦亜弥後藤真希…5,000万円
 http://www.777money.com/torivia/torivia6.htm

(恐らく、現在は娘。と松浦は逆転しているでしょう…)


この金額は間近に迫った武道館でのコンサート1公演分の売り上げとほぼ同額と思われます。
6,800円×10,000人=6,800万円
(ただし、実際には会場使用料、機材レンタル料、スタッフ人件費などの経費がかかるわけで、これらを引くとコンサートで上がる利益は極くわずかと思われます。)


ちなみに5,000万円稼ごうとすると、ハロショなどで売っている生写真だったら約33万3千枚、CDシングルだと約4万8千枚売らなければならない計算となります。


以上から、芸能人や芸能事務所にとってCMの仕事が非常にオイシイことは、素人にもなんとなく分かるような気がします。



CMを発注する企業は、当たり前のことですが、自社商品をアピールするのにふさわしいタレントを選ぶわけです。じゃあ、一体どんなイメージを抱いてハロプロのタレントを起用したのでしょうか?実際のプレスリリースをいくつか引用してみます。


■キリン 午後の紅茶

『広告宣伝には、幅広い世代に人気を誇る、“あやや”こと「松浦亜弥」を起用。明るく爽やかな“あやや”の魅力に加えて、今まで見たことのない、ちょっぴりオトナの松浦亜弥が、“午後ティー史上、最高おいしくなった午後ティー”を、強力にアピールしていきます。』
ニュースリリース(2003年4月)
http://www.beverage.co.jp/company/news/news/2003040901/


江崎グリコ ポッキー

石原さとみさん、仲間由紀恵さん、柴咲コウさん、松浦亜弥さんが、4人そろって登場します。すべてが新しい「ポッキー」=“ALL NEW POCKY"のデビューを印象的にアピールするため、最も旬でメジャーな女性タレントばかり4人を同時に起用したインパクトのあるCMを制作しました。』
ニュースリリース(2004年10月)
http://www.ezaki-glico.com/release/20041005/index.html

『今、若い人に最も共感をもって支持されているタレントが‘モーニング娘。’近所に住む普通の女の子が、テレビ番組のオーディションを勝ち抜き、課題を乗り越えて成長していく姿が若い人の共感を呼んでいます。ひたむきさと彼女達が持っているエネルギーをポッキーの販売促進に生かしたい。と、考え起用しました。
ポッキーグループは、1966年に発売した赤い箱の『ポッキー』から『ムースポッキー』まで、バラエティに富む商品14種類で構成されています。‘モーニング娘。’も、12歳から27歳の個性派10人で構成されています。支持層が広いこと、誰もが知っていること、グループの中で個々の個性がきらめいていること、など共通点が多くあります。今のポッキーに一番ふさわしいタレントだと考えています。』
ニュースリリース(2000年7月)
http://www.ezaki-glico.com/release/20000707/index.html


これらプレスリリースから分かるのは、CMを発注した企業はハロプロのタレントに「明るく爽やか」、「旬」、「メジャー」、「共感」、「個性のきらめき」といったイメージを求めていること。我々モーヲタ以上に。




ここで最近のハロプロについて思い出してみると、昨年12月の安倍なつみ盗作事件、今年3月の松浦亜弥熱愛報道、そして今回の矢口とわずか半年の間に3件ものスキャンダルが起きています。


恐らく、問題になるのは事件の内容や軽重ではなく「スキャンダルが起きた」ということ。


「明るく爽やか」などのイメージを背負わされたタレントがスキャンダルを起こした場合、タレント本人だけでなく、そのタレントをイメージキャラクターとして採用している商品にも悪い印象を与えてしまう、或いは、CMを発注する企業がそのようにみなしてしまうことは想像に難くありません。


安倍、松浦とスキャンダルが続いたことで実際に何かしらクレームが来ていたのかは分かりません。しかし、所属タレントが頻繁にスキャンダルを起こす芸能事務所は、当然、タレントの管理能力を疑問視されるでしょう。流石に、ここらで綱紀粛正を図らなければ会社の信用や所属タレント全体のイメージ低下にも繋がりかねない、それくらいの危機感はアップフロントにあったと思うのです。なんせCM1本5,000万円・年4本作ったら2億円とかのお金が入るか否かな話しですから。


では、何故、矢口だけが処分されなければならなかったのか?


恐らく、矢口の不幸は「3人目」だったこと。仏の顔も三度までという諺もあるようにスキャンダルも3回続くとなると厳しい処分をせざるを得ない、ということだと思うのです。


3人目のタレントが"たまたま"矢口だった。いや、むしろモーニング娘。のリーダーであっても断固とした処分を下すという所を見せることに意味があったのかもしれません。内に対しても外に対しても、これ以上見せしめ(生贄?)にふさわしい人物はいないでしょうから。


今回の事件ついては、CMを発注している企業に対するデモンストレーションとして、事務所がスキャンダルを起こしたタレントに対して断固とした処分をとってみせること、そうしてみせることにより企業としての信用を守ることが、何よりも〜例えば、石川梨華の卒業公演にミソをつけることよりも〜大切だったと思うのです。




このような視点から見て気になるのは4/22に配信された次の記事。

松浦亜弥が出演しているCMが軒並み人気を集めていることが、オリコンの自社アンケート・パネル【オリコン・モニターリサーチ】の調査で明らかになった。2位の「プリッツ」、7位の「焼きそばU.F.O.」ともにその振り付けのユニークさが際立っている。「松浦亜弥がコミカルな仕草をしているから」(群馬県 男性/プリッツ)、「松浦亜弥の歌とダンスと衣装が印象的だった」(埼玉県 女性/U.F.O.)とはいえ、このCMについては批判的な声も少なくない。ただ、良きにつけ悪しきにつけ視聴者の印象に残ったという時点で、これは送り手側の作戦勝ちということだろう。』
オリコン・高校生に人気のCMは…
http://www.oricon.co.jp/entnews/p-et-tp0-050422-9003.html


タイミング的に「禊は終わりました」と宣言しているようにも受け止められるのですが、穿ち過ぎでしょうか?


つづく。(多分)